久喜市議会で同性カップルに対するヘイト発言、取り消し
2月22日の久喜市議会本会議、一般質問で、とんでもないヘイト発言が飛び出した。
5番目に立った鈴木松蔵議員は、これまでにも「同性カップルのパートナーシップ制度」の導入などに関連して、性的マイノリティの方々への偏見に満ちた差別的な発言を繰り返してきた。
それでもこれまではせいぜいが「同性婚は憲法違反だ」「パートナーシップ制度は婚姻に相当する関係を認めることになるから憲法違反だ」と言うにとどまっていた。
全国の自治体で導入が進んでいる同性パートナーシップ制度は、法的な婚姻制度とは明確に異なり、自治体が「婚姻に準じる」として証明する制度である。
したがってそれは、法的な効力を持つものでないので、憲法違反だなどと批判されるべきものでもあり得ない。
しかし今回の発言は、もはや「差別的」というレベルではなく、誤った事実認識と意図的なねじ曲げに基づく「差別・偏見」であり、当事者へのヘイト発言と言わざるを得ないものであった。
その発言の問題部分を、そのまま下記に掲載しておく。
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【鈴木議員の発言】
レズビアンにしてもゲイにしても、ふつう子どもはできないわけですけど、養子を迎えるとか、あるいは人工授精により子どもを得るということもありますけど、これはですね、法による結婚ではないわけですから、解消するのはものすごく簡単なわけです。それで、子どもが、先ほど言ったような形で得てもですね、養育の義務はないのではないかと思います。
また、義務教育を受けさせる義務というのも想定されないと思うのです。そうするとてすね、その子どもはですね、成長に精神的な意味で非常に不安な状態に置かれるということも想定されるわけでして、その場合はですね、その子ども等に対する影響は非常に大きいということも考慮しなければいけないのではないかと思いますが、こういったいろいろ問題については慎重に考えなければならない。とある民法学者は言っております。
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鈴木議員の問題発言があったのは、この日の15時過ぎ。
その後、他の議員の質問があって、それが終わった16時半過ぎに、私は議長に「動議」を提出した。
動議は、「鈴木議員の質問の中で、『同性カップルは子どもに義務教育を受けさせる義務を負わない』『したがって子どもの学校教育で問題が生じる』というような発言があった。これは制度の無理解や誤った理解による差別、偏見、当事者らに対するヘイトともなりかねいない発言である。議長が発言の内容を調査の上、善処するよう求める」というものである。
そのまま議会は休憩に入り、議長が事務局に録音を確認させて、問題発言を書き起こした。
その後、各会派の代表者で協議して、まず鈴木議員本人に発言の取り消しを求めることになった。
そして議長が鈴木議員に話をしたのだが、鈴木議員は「間違ったことは言っていないので、取り消しはしない」と拒否したという。
それを受けて、再度の代表者の会議で、議長職権による取り消しか、または議会運営委員会を開催して、そこで発言の取り消しを協議し、議運として鈴木議員の発言の取り消しを求めるかを協議することになった。
しかし本人が発言取り消しをしない意思を明確にしている以上、この発言の取り扱いについて、議運で正式な議題として協議しようという方向でまとまりかけた。
その段階にいたってようやく、鈴木議員の所属する新政久喜の代表から、「本人が発言を取り消すと言っている」と話があったので、各会派もそれを受け入れることになった。
2時間近く空転した本会議は、18時15分に再開した。
まず、私が提出した動議を、全会一致で可決。
その後、議長が、「鈴木議員から発言取り消しの申し出があったので、議長はこれを許可します」と述べた。
続いて鈴木議員が登壇して、下記の発言をすべて朗読した上で、「不適切な発言であったので取り消します」と発言。
議会として、鈴木議員の発言取り消しを了承して、18時半過ぎに閉会となった。
【蛇足】久喜市議会がヘイト発言を黙過しない、あたりまえの対応能力を発揮できたことを評価したい。
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【一応、発言のヘイト・差別性を記しておく】
同性カップルに子どもはできないから、養子か人工授精で子どもを作るという決めつけているが、一方に実子がいてカップルになる場合もあるのだが、実態をまったく知らないのだろう。
同性カップルは法による結婚でないので、解消するのはものすごく簡単だという決めつけと偏見。
・・・異性の法による婚姻だって離婚はたいへん多い。「離婚」や「解消」は法によるものか否かは関係なかろう。
逆に、法による婚姻で、DVがあっても容易に離婚できなくて、女性が厳しい状況に置かれることも多い。
同性カップルが子どもを養育している場合に、「養育の義務はない」というのはいったいどこでこんな偏見あるいは虚偽の理論を拾ってきたのか。
同性カップルは、義務教育を受けさせる義務はないというのも、偏見に基づく虚偽の理論である。
子どもがいれば必ず保護責任が伴い、保護者には子どもに教育を受けさせる義務を負うのは、憲法に定められている。
憲法第26条 教育に関する権利と義務
(1)すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
(2)すべての国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
現在問題になっている子どもの虐待は、同性カップルの子どもの養育の問題とはまったく関係なく発生している。
こうした間違った事実認識に基づく、悪意ある虚偽の言説を前提として、同性カップルの子どもが、「成長に精神的な意味で非常に不安な状態に置かれる」「その子ども等に対する影響は非常に大きい」と言うのは、もはや、同性カップルとその子どもたちに対するヘイト発言と言わさるを得ない。
最後に鈴木議員は「とある民法学者は言っております」と付け足しているのは、他の人が言っているのを引用しただけから、自分には発言の責任はないんだと言いたいのか。
自分の責任逃れを図った卑怯な言い方であり、いったいどこからどこまでが「ある民法学者」の発言なのかわからないように言っているのも輪をかけた卑怯さではないか。
「ある民法学者」は関係なく、自分がそう思っているから発言したのであって、それで責任逃れができると思っていたのだとしたら、考え方が姑息すぎる。
5番目に立った鈴木松蔵議員は、これまでにも「同性カップルのパートナーシップ制度」の導入などに関連して、性的マイノリティの方々への偏見に満ちた差別的な発言を繰り返してきた。
それでもこれまではせいぜいが「同性婚は憲法違反だ」「パートナーシップ制度は婚姻に相当する関係を認めることになるから憲法違反だ」と言うにとどまっていた。
全国の自治体で導入が進んでいる同性パートナーシップ制度は、法的な婚姻制度とは明確に異なり、自治体が「婚姻に準じる」として証明する制度である。
したがってそれは、法的な効力を持つものでないので、憲法違反だなどと批判されるべきものでもあり得ない。
しかし今回の発言は、もはや「差別的」というレベルではなく、誤った事実認識と意図的なねじ曲げに基づく「差別・偏見」であり、当事者へのヘイト発言と言わざるを得ないものであった。
その発言の問題部分を、そのまま下記に掲載しておく。
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【鈴木議員の発言】
レズビアンにしてもゲイにしても、ふつう子どもはできないわけですけど、養子を迎えるとか、あるいは人工授精により子どもを得るということもありますけど、これはですね、法による結婚ではないわけですから、解消するのはものすごく簡単なわけです。それで、子どもが、先ほど言ったような形で得てもですね、養育の義務はないのではないかと思います。
また、義務教育を受けさせる義務というのも想定されないと思うのです。そうするとてすね、その子どもはですね、成長に精神的な意味で非常に不安な状態に置かれるということも想定されるわけでして、その場合はですね、その子ども等に対する影響は非常に大きいということも考慮しなければいけないのではないかと思いますが、こういったいろいろ問題については慎重に考えなければならない。とある民法学者は言っております。
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鈴木議員の問題発言があったのは、この日の15時過ぎ。
その後、他の議員の質問があって、それが終わった16時半過ぎに、私は議長に「動議」を提出した。
動議は、「鈴木議員の質問の中で、『同性カップルは子どもに義務教育を受けさせる義務を負わない』『したがって子どもの学校教育で問題が生じる』というような発言があった。これは制度の無理解や誤った理解による差別、偏見、当事者らに対するヘイトともなりかねいない発言である。議長が発言の内容を調査の上、善処するよう求める」というものである。
そのまま議会は休憩に入り、議長が事務局に録音を確認させて、問題発言を書き起こした。
その後、各会派の代表者で協議して、まず鈴木議員本人に発言の取り消しを求めることになった。
そして議長が鈴木議員に話をしたのだが、鈴木議員は「間違ったことは言っていないので、取り消しはしない」と拒否したという。
それを受けて、再度の代表者の会議で、議長職権による取り消しか、または議会運営委員会を開催して、そこで発言の取り消しを協議し、議運として鈴木議員の発言の取り消しを求めるかを協議することになった。
しかし本人が発言取り消しをしない意思を明確にしている以上、この発言の取り扱いについて、議運で正式な議題として協議しようという方向でまとまりかけた。
その段階にいたってようやく、鈴木議員の所属する新政久喜の代表から、「本人が発言を取り消すと言っている」と話があったので、各会派もそれを受け入れることになった。
2時間近く空転した本会議は、18時15分に再開した。
まず、私が提出した動議を、全会一致で可決。
その後、議長が、「鈴木議員から発言取り消しの申し出があったので、議長はこれを許可します」と述べた。
続いて鈴木議員が登壇して、下記の発言をすべて朗読した上で、「不適切な発言であったので取り消します」と発言。
議会として、鈴木議員の発言取り消しを了承して、18時半過ぎに閉会となった。
【蛇足】久喜市議会がヘイト発言を黙過しない、あたりまえの対応能力を発揮できたことを評価したい。
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【一応、発言のヘイト・差別性を記しておく】
同性カップルに子どもはできないから、養子か人工授精で子どもを作るという決めつけているが、一方に実子がいてカップルになる場合もあるのだが、実態をまったく知らないのだろう。
同性カップルは法による結婚でないので、解消するのはものすごく簡単だという決めつけと偏見。
・・・異性の法による婚姻だって離婚はたいへん多い。「離婚」や「解消」は法によるものか否かは関係なかろう。
逆に、法による婚姻で、DVがあっても容易に離婚できなくて、女性が厳しい状況に置かれることも多い。
同性カップルが子どもを養育している場合に、「養育の義務はない」というのはいったいどこでこんな偏見あるいは虚偽の理論を拾ってきたのか。
同性カップルは、義務教育を受けさせる義務はないというのも、偏見に基づく虚偽の理論である。
子どもがいれば必ず保護責任が伴い、保護者には子どもに教育を受けさせる義務を負うのは、憲法に定められている。
憲法第26条 教育に関する権利と義務
(1)すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
(2)すべての国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
現在問題になっている子どもの虐待は、同性カップルの子どもの養育の問題とはまったく関係なく発生している。
こうした間違った事実認識に基づく、悪意ある虚偽の言説を前提として、同性カップルの子どもが、「成長に精神的な意味で非常に不安な状態に置かれる」「その子ども等に対する影響は非常に大きい」と言うのは、もはや、同性カップルとその子どもたちに対するヘイト発言と言わさるを得ない。
最後に鈴木議員は「とある民法学者は言っております」と付け足しているのは、他の人が言っているのを引用しただけから、自分には発言の責任はないんだと言いたいのか。
自分の責任逃れを図った卑怯な言い方であり、いったいどこからどこまでが「ある民法学者」の発言なのかわからないように言っているのも輪をかけた卑怯さではないか。
「ある民法学者」は関係なく、自分がそう思っているから発言したのであって、それで責任逃れができると思っていたのだとしたら、考え方が姑息すぎる。