本心では反省なんかしていない安倍談話

 8月14日の「安倍談話」とはいったい何だったのか。

 「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明」してきたと言い、「こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎない」とは言ってみせた。

 果たしてこれは、日本政府が、侵略を認め、反省し、謝罪したのか。
 村山談話や小泉談話における、中国や朝鮮に対する日本軍国主義の行為としての侵略、それへの反省やおわびを、過去の首相たちが行った過去形で述べ、現在の首相である安倍自身の言葉としてはついに語らなかった。

 つまり、これまでに歴代首相たちが侵略を認め、お詫びしてきたじゃないか、それを“全体として引き継ぐ”とは言わざるを得ないけれど、現在の首相たる安倍自身が侵略を認めた上で、お詫びするなんてことは金輪際しないよと、こういうことだ。

 しかも、「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と言ったのは、素朴な国民感情におもねったのではあるが、これはもう、将来の世代に謝罪を続けさせないと、日本の将来世代の立場を思いやったようにみせて、つまりは、今後、“日本政府としてはもう二度と謝罪はしないぞ”と宣言したに他ならない。

 ここには安倍首相のロジックのすり替えがある。
 これまで謝罪してきた主体は、日本国家であり、日本政府であるのであって、日本国民個人個人が謝罪してきたわけでもなく、個人としての謝罪を求められてきたこともない。
 安倍首相は、求められてもいない日本国民の個人としての謝罪を否定することによって、実は、過去の軍国主義の経験を持つ日本の国家としての謝罪を拒否したのである。

 これを、相手の立場に立ってみたらどうなるか。
 中国や韓国や東南アジア諸国、日本の侵略で被害を受けた諸国からすれば、もう謝罪しないぞと、日本政府を代表する首相の名で宣言されたということは、現在の日本政府は、本心では、謝罪の気持ちなどは持っていないことを露骨に宣言されたことに他ならない。

 むしろ安倍談話は、あえてこのような余計な謝罪拒否の宣言をすることによって、それらの諸国から「侵略を認めるのか認めないのか」「本当に謝罪の気持ちがあるか」と、今後も引き続き何度でも、問われ続けざるをえなくさせてしまったのだ。

日露戦争はどういう戦争だったか

 安倍首相は、わざわざ日露戦争で帝政ロシアに勝利したことを取り上げて、「植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけ」たと自画自賛してみせた。

 日露戦争はいったい何だったのか、いったいどこで戦われた戦争だったか。
 日本人の脳裏にすぐに浮かぶのは、大日本帝国海軍連合艦隊とロシア帝国海軍バルチック艦隊の日本海海戦における“勝利”であるが、しかし実際には日露戦争の主戦場は、両国の国境や海の上で闘われたのではなかった。

 日露戦争は1904年2月から1905年9月まで、大日本帝国と帝政ロシアとの間で、主として朝鮮半島と満洲地域で戦われたのであって、日本海海戦はその末期の05年5月27日から29日に発生したほんの一部の戦闘でしかない。

 日露戦争の本質は、大日本帝国と帝政ロシアが朝鮮半島と満州地域の植民地化を競い、中国と朝鮮(大韓帝国)の領土のぶんどり合戦をやった、それ自体が中国と朝鮮半島への侵略戦争であったに他ならない。

 だから、安倍首相が日露戦争の“勝利”を誇ってみせたことは、日本とロシアが、中国と朝鮮の領土の切り取り競争をやって、日本が勝って中国と朝鮮半島への侵略と植民地支配をいっそう激化させていったことを正当化し、誇ってみせたことになるではないか。

 もしかしたら、安倍首相は、日露戦争それ自体が中国と朝鮮半島への侵略戦争であったことを知らないのではないか。

 だから談話の作文の上では、「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明」してきたと述べたとしても、そもそも安倍自身は、日露戦争も含めて、日清戦争から50年間にも及ぶ中国と朝鮮半島における戦争を、侵略だとは思っていないと考えるしかない。
 そして、安倍にとっては、これらの戦争が「侵略」でないのだとしたら、「反省」のしようもないことになる。

 それにしても驚くべきは、安倍晋三の頭の中では、日露戦争について、帝政ロシアに勝ったということしか思い浮かばないで、その戦争が他国の領土内で戦われ、その土地に暮らしていたはずの中国や朝鮮の民衆がどうなったかについては想像もできないらしい。

 日本の首相たる安倍の、これが人間的想像力の欠如でなくて何と言えばいいのか。

【参照:緑の党 「戦後70周年を迎えて」の談話へのリンク】


【参照:安倍談話の全文へのリンク】

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