済生会栗橋病院の「一部機能」存続を求めるべき

 7月10日に開かれた市議会全員協議会で、済生会栗橋病院の加須市への移転問題の、市長選挙後の経過が報告されています。

 7月4日、市長選挙後初めて、梅田新市長、市の健康増進部長、副部長、健康医療課長の4人で、栗橋病院を訪問し、病院長らと「意見交換」をしていて、その場で病院長から、加須の新病院および栗橋病院再整備案の構想が明らかにされた、その内容が報告されました。

 その内容は、
(1)現在の栗橋病院の「再整備案」は、1999年に建設された東館の3・4階部分を利用して病院機能の一部を残す。
 3階部分に50床の「回復期の病床機能」を想定し、その内5~10床は「療養型病床」も視野にあると説明されました。(「療養型病床」は、病状が安定している慢性期の患者の長期療養を目的として医療措置やリハビリなどのサービスを提供する施設です)。
 病床50床の内、25床は、埼玉県地域保健医療計画の病院整備計画に応募して認められれば確保できる見通しとされているので、確定とは言えません。
 4階には、サービス付き高齢者住宅38室を予定しています。

(2)この再整備案の初期投資も含めた経営面でのシミュレーションが示されるのは7月下旬、また県の病院整備計画の結果が出るのは来年1月になるとのことです。

(3)加須新病院は、現在の一般病床300床と感染症病床4床を含む304床を移転する予定です。

(4)6月28日に、済生会栗橋病院による、栗橋地区の地元住民に対する説明会を開かれました。
 病院長の説明によると、参加した住民から『2次救急でなくてもやむを得ないが、安心できる体制を望む』等の意見が出され、病院長からは『初期救急的な医療であれば、現在地の再整備案でも対応が可能である。現在地の建物を活用しながら、できる限り経営的にも継続できるよう、梅田市長と話し合い、相談していく』と答えたということでした。

(5)病院長から、梅田市長に対し、あらためて補助金等の支援の継続も要望されました。

(6)それに対して梅田市長から、『栗橋地区の地元住民の声を大事にするとともに、どのような再整備案が市民にとって最善となるのか、病院長とさらなる協議をお願いした』とのことでした。
 【以上は、全員協議会における健康増進部長の説明をできるだけ忠実にまとめたものです。】
          --------------------------

 済生会栗橋病院の移転問題について、これまでの久喜市の対応には大きな問題があったと言わざるを得ません。

 久喜市は田中前市長の指示で、昨年から毎月、副市長と部長、課長らが病院を訪問し、意見交換してきていて、その最後は3月29日でした。
 第1の問題は、毎月「意見交換」を続けていながら、加須の新病院の構想や栗橋に残すとされる機能について、病院側から何らの説明も情報も得ることができず、結果的に何らの対応も取ることができなかったということです。
 実際、2月28日の「意見交換」の場では、市側から「救急医療を栗橋に残すこと、第三次救急の早期実現をお願い」しているのですが、そのようなことは病院側の検討の中には当初から含まれていないことはとっくにわかっていたことでした。
 それなのに、久喜市としては、移転の全面的撤回はもはや不可能であることがわかっていながら、形式的に「お願い」だけをしてきたということになります。

 第2には、現在の栗橋病院のほとんどの機能を加須へ移転し、栗橋には「回復期の病床など、一部の機能を残す」という方向性は、すでに昨年の内には示されてきていました。
 であれば、久喜市としては、その方向性を全面的に転換させることが可能なのかどうかを、早期に判断すべきでした。
 もはや済生会側の方針転換が不可能あるいは困難と判断すれば、2次救急や3次救急の機能は断念して、最低限でも外来と初期救急の「一部機能」を残すことと、その「一部」をいかに拡充させるかに働きかけの軸を変更するべきではなかったでしょうか。

 第3に、市は今年2月に、「公的病院運営費補助金交付要綱」を一方的に改正しています。
 この補助金交付要綱は2016年に制定されたもので、「市内にある公的病院が行う不採算医療部門の運営に要する経費」を補助する、「(補助事業者は)、済生会栗橋病院とする」、「(補助対象経費は)、救急医療、小児救急医療及び小児医療」としていました。
 しかし、2月の改正で、「不採算医療部門」に対する補助でなく、「第三次救急医療の運営に関する経費」だけを補助すると改め、補助対象経費も「救命救急センターの運営に要する経費」と限定してしまいました。
 このことは、これまで毎年、済生会病院に交付してきた補助金を、久喜市の側から一方的に打ち切ったことを意味します。
 つまり、済生会が加須へ移転するのであれば、たとえ栗橋に「一部機能」を残したとしても、もうこれ以降、補助金は出さないことを決定し、当初予算で4700万円の運営費補助金を計上していたのを、削除してしまったのでした。
 しかしそれでは、栗橋には病院機能は残さなくてもいいと、久喜市から通告したに等しいものです。

 実際、7月の梅田市長と病院長との意見交換の場でも、栗橋に一部機能を残すことを前提として、補助金支援の要請があったのですから、久喜市としては、3次救急にこだわらずに補助金交付を再開するべきです。
 2月に改正した補助金交付要綱を再度改正して、栗橋に外来と初期救急の機能を残すよう、済生会に要請するべきではないでしょうか。