水戸市民の避難者受入協定は何のためか

 東海第2原発の事故の際に、水戸市から避難者を受け入れる計画で、久喜市を含む埼玉県11市町と水戸市との「協定書」が締結された。
【参照⇒協定書締結の記事へのリンク】

 水戸市民27万人の内、埼玉県内の11市町で受け入れるのは約4万人、その内、久喜市に避難してくるのは水戸市内の4つの町内の3114人とされているのだが、各市町のそれぞれの受け入れ人数はどのようにして決めたか。
 詳細は明らかにされていないのだが、まず水戸市からの後期避難については埼玉県が窓口になって、県立高校の体育館を避難所とすることを想定したらしい。
 その上で、体育館の面積を、避難者1人あたり2㎡で割って、受け入れ人数を決めて、それに当てはまる町内を割り振ったらしい。
 人間を、生身の人間としてではなく、単なる数としてしかとらえていない、何と安易な考え方か。

 国際的な基準では、1人あたり最低3.5㎡、トイレの数は20人に1か所は必要とされているのに対しても、県立高校の体育館ではとうてい足りない。
 1人2㎡というのはタタミ1枚分だが、荷物を置くスペースも考慮されていないのだろうか。
 避難所開設期間は1か月間を想定しているが、1人2㎡で過ごす(生活する)ことは不可能だから、実際には、水戸市としては場所だけを確保したけれど、最初からみんなは来ないだろうと見込んでいるか、あるいは、ここで暮らすか、各人でどこか避難場所を見つけて自主的に移るかは、それぞれの判断にまかせるということだろうか。

 水戸市から久喜市の避難所に来るまでの交通手段は、貸切バスの運行は予定していない。
 避難者それぞれの自己責任ということだから、久喜まで来るのも容易ではない、実際にはそれぞれで親戚や知人や、土地勘のある所を探して、勝手に(自主的に)避難することになるのではないか。

 もっと問題なのは、東海第2原発で事故が発生したら、30㎞圏内の住民が避難するのだけれど、まず5㎞圏内の避難が優先とされていて、それ以外の住民は当面、自宅待機とされている。
 確かに我先に避難を始めたら、公共交通機関(機能しているかわからないが)も道路も大渋滞で、混乱するばかりになることは目に見えている。
 しかしそれでも、現実には「我先に」避難を始めるであろうことも、誰も止めることができないだろう。
 そう考えていくと、本当に「有効」な避難計画自体が策定できるものかどうか、きわめて疑問と言わざるを得ない。
 いや、もしかしたら、茨城県も水戸市も、本当に避難せざるを得なくなるなんてことは、ホンネでは考えていないのではないか。
 東海第2原発の再稼働「ありき」で、そのためには「避難計画の策定」が条件とされているから、いちおう形だけでも作っておこうという発想ではないのかと勘ぐってみるのだが、いかがか。
【久喜市と水戸市の協定書本文へのリンク】